一般職は、もはや「お茶くみ」ではない
女子学生が正社員として就職する場合、総合職か一般職かという選択肢がある。
総合職というのは、一般の男子社員と同じ待遇で、研修が終わると各地の支店に配属されたり、子会社や関連会社へ出向を命じられたりする。
全国に支店や営業所があるような企業の場合は、日本全国のどこかに配属になる。
もちろん新卒の新人だから、いきなり一人で最果ての営業所に配属されることはなく、地方拠点やベテラン社員の下に配属されるだろうが。
一方、一般職の場合は、引っ越しするような転勤がないコースで、現地採用社員になる。
実家や今住んでいる場所から通勤することが前提で、総合職のように、会社の都合によってあちこちに動かされない。
ただし給与体系は総合職とは別で、昇進もあまり期待できない。
というのも元々、一般職というのは、定型的な業務を行う雑用係のようなモノだったからだ。
雑用係だから、上司に指示されたことをやっておれば良くて、それができておれば責任を問われるようなこともない。

やる気があって、転勤を厭わなければ、総合職でエントリー
数十年前、大企業の女性社員は中卒や高卒が多く、「職場の花」だとか「お茶くみ」なんて言われていた時期がある。
職場の花というのは、職場にいるだけで華やぐという意味だ。
お茶くみとは、お客さんや社員にお茶を出す仕事という意味だ。
職場の花は、ニコニコしてくれるだけで良いし、受付で来客を出迎えてくれれば良い。
またお茶くみは、テキパキと美味しいお茶を入れて、タイミング良く出してくれれば良い。
それでどれくらい生産性が上がるのかはよく分からないが、多くの企業では、こういうポジションに女子社員を置くだけの余裕があった。
しかし現在は、職場の花としての採用や、お茶くみとしての採用は、殆どの企業では行っていない。
というのも今やこういう定型的な業務は、派遣社員が担当するようになったからだ。
会社の華として受付に座っているのは、派遣会社から派遣された女性だし、従業員の給与計算や保険料の支払いなどと言った作業も、派遣社員が担当していることも多い。
オフィスの掃除はビルの管理会社が契約している業者が担当しているし、お得意様向けのお知らせやダイレクトメールなどの作成も、アウトソーシングで賄ったりしている。
そういうわけだから、一般職といえども、今や総合職と大差ない仕事をしている。
企画立案やお得意様対応、プレゼンテーションや配達など、かつては総合職のみがやっていた仕事を担当している。
総合職と異なるのは、引っ越しを伴う転勤がないくらいなのだが、昔のイメージで一般職を志望する女子学生も多いらしい。
地方の中小企業であれば、そう遠くに配属されることもないので、総合職でも一般職でもあまり変わらないのだが、応募は一般職に集中してしまうのだ。
その結果、総合職でエントリーしていれば楽々内定が取れるのに、競争率の高い一般職でエントリーして、内定が取れないという事もあるらしい。